カルロス・サンタナ
オンタマ独占インタビュー!!!
■なぜ今回カヴァー・アルバムを作ろうと思ったのですか?
サンタナ:もともとはクライヴ・デイヴィスのアイディアだったんだ。クライヴと僕は68、9年からの知り合いで、彼は『スーパーナチュラル』の基盤を作った人でもある。彼は「君がやらないとしても他のギタリストにこのアイディアを持っていく気はない。これは君にしかできないんだ」って言うんだ。そこで、僕は彼の情熱を信じることにしたんだ。「モナリザ」のような名作に触れることについて怖がらなくてもいいんだ、ってね。あとここで僕が主張しておきたいのは、これはエリック・クラプトンやジミー・ペイジ、ジェフ・ベックらとの比較や競争ではないってことなんだ。そうじゃなくて、礼賛してるんだよ。僕らが目指したのは、馴染みがあるけれども全く新しいサウンドだよ。
■選曲はどうやったんですか? あなたが選んだ曲は?
サンタナ:クライヴと僕とで半々ずつ選んだのさ。クライヴが『ローリング・ストーンズ』誌の「ベスト・ソングス」とか「ベスト・ギター・プレイヤーズ」なんかのリストを持って来てくれてね。僕は「While My Guitar Gently Weeps」「Sunshine Of Your Love」、「Riders On The Storm」あたりを選んだ。どれもイメージの湧きやすい曲ばかりだね。目が見えなくてもイメージが豊かに広がるような。
■特にシングルの"While My Guitar Gently Weeps"は素晴らしい美しさですが、チェリストのヨーヨー・マを起用するアイディアはどこから来たのですか?
サンタナ:彼とはずっと仕事したいと思ってたんだ。ただ、この曲に巡り会うまでは時期尚早だと思ってたんだ。ウェス・モンゴメリーがやったビートルズのカヴァーとかの、ドイツとかイギリス的なヨーロッパの室内楽にすら聴こえるようなアレンジメントも聴いてきたし、プロデューサーのマット・セレティックと話しながら、イントロからずっとヨーヨー・マを起用したいねってことになったんだ。そのアイディアは良かったと思うよ。チェロとは嘆きの表現に長けた楽器だからね…わめいたり愚痴を言ったり、というのではなく、悲嘆に暮れる、というか。それからインディア・アリー…彼女は素晴らしいよ。僕は目が覚めている時に夢を見るのが好きなんだ。夢とは普通眠りながら見るものだけど、僕は「ヨーヨー・マとインディア・アリーと一緒にやったら…?」と夢想するのが好きでね。夢を見ることは良いことさ。
■あなたの長いキャリアで初めてとなる、日本のアーティストをヴォーカルに迎えた“La Grange”を日本盤に収録していますが、浅井健一についての印象は?
サンタナ:本物だね。とても気に入っているよ。彼は人にスピリットを伝える力を 持っていて、歌の力で人を信じさせるものを持っている。今回参加してくれて、とても感謝しているよ。
■今回も素晴らしいギター・ソロが聴けますが、ソロを弾く前にはある程度ソロの構成を考えておくのですか? それとも気持ちの赴くままに自由に弾くのですか?
サンタナ:全て即興だよ。自分の弾いたものは80から90%の割合で覚えてないんだ。ただ覚えているのは目を閉じて曲に対して耳を澄まし、サーファーみたいにその瞬間をキャッチしようとすることだけ。その瞬間は構成もスケールも何も考えてない。このアルバムをライヴで弾こうと思ったら、ちゃんとじっくり聴き直さなきゃならないかもしれないな、興味深いことだけど。自分では一体どうやって自分がプレイしたかも覚えてないんだから(笑)。だけど、自分の指を信じればそれで大丈夫。もうここまで来ると、指が既に何をすべきか知っているから。もし、このアルバムに『ギター・ヘヴン』以外の名前を付けるとしたら『信頼(Trust)』になるべきだね。
信頼や希望、信条がなければこういう曲は弾けないから。
■ジェフ・ベックやエリック・クラプトンもそうですが、あなたがこうして第一線で活躍していることには大きな意義があると思います。ご自分では、ロック・シーンもしくはロックの歴史に対して、大きな役割を担っているという意識はありますか?
サンタナ:ノー。僕はそういう風には考えてない。そういう脳の構造になってないんだよね。そうじゃなくて、こういう風に(と膝の間に両手を挟んでモジモジするフリをしながら)8歳の男の子みたいな、純粋なイノセンスしか持ち合わせていないんだ。初めてギターを触った時とか、初めて虹を見た時とか、そんな感じのね。冷蔵庫(みたいにつまらない、という意味)になっちゃダメなんだよ。心を開いて、両腕を広げて、音楽で人を笑わせたり泣かせたり、ダンスさせたりすることが大事なんだ。何をしようとも、それが一番大事なことなんだ。
■ひと言で言うとするなら、あなたにとってギターとはどんな存在ですか?
サンタナ:(ため息)・・・ギターとは人の心を深く貫くことの出来る楽器だよ。